←味噌へ ←戻る

▲「どて」のバリエーション。串つきと串なし。

「どて」を「どて煮」とか「どて焼」とかいう奴はシロートである。 「あれは煮込むものだから、どて煮が正しい」とか「いや、すき焼きは煮るくせに、焼くというではないか」などと屁理屈をこいてはいけない。注文はあくまで「おばちゃん、どて、ちょーでゃー」と、キッパリ言い切るべきである。

さて、以上の注文が通って出てくるものは、「どて」の中で最もポピュラーなホルモン(放るもん=内蔵)の味噌煮込みである。しかしこれを有り難そうに食べるのは、まだ甘い。とっておきのセリフを教えよう。
「おやじ、串かつ、煮てちょー」
この一言を発した瞬間、店中のざわめきはピタリとおさまり、あなたは「どて上級者」として、深い尊敬のまなざしで迎えられるだろう。なぜなら「どて」の醍醐味は小鉢ではなく大鍋にあり、その鍋をいかに自宅の鍋どーぜんにワガママに使えるかが、上級者の気合いというものだからである。
ディープな名古屋を象徴する「どて」の大鍋。中央の網の篭に注目。味噌を足したり、串カツを煮るために用いる。
しかし調子に乗ってコロッケやメンチカツを「煮てちょー」と頼んで袋叩きにされても、当方は一切責任を取らないから、そのつもりで。