司馬専太郎エッセイ13
2人のダニエル君の巻■2人のダニエル君の巻:
今日は,ダニエル君のお話です。大人のダニエルさんと小学校5年生のダニエル君です。
まず,大人のダニエルさんですが,ドクターの医学英語教室と称して,鶴舞の大学病院にて私と,外国人と2人組で医学生に毎週木曜日の午後7時から英語を教えていますが,ダニエルさんは,その二番目の先生でした。ダニエルさんは,イスラエルから来てもう10年になります。英語はイスラエルなまりで,分厚いメガネをかけて愛嬌たっぷりなので学生にも人気があったのですが,突然いなくなったので困ってしまい,別の先生を探す事になりました。半年ぐらいたって松坂屋の前をあるいていると,装飾品の露天が出ていて,「ヤスイヨ,ヤスイヨ,カッテケ,モッテケ!!などと威勢の良いかけ声が聞こえるので,つい店をのぞくと,何とダニエルさんでした。「なんだ,ここで商売しているんでしたか。」というと,にこにこして,「ええ,実は日本人の奥さんが,子供が出来て一生懸命稼がなくちゃあ。」と答えるので,やっぱり医学生から出すお月謝が少なかったか。と僕も英語教師料をねぎったので反省した次第でした。キーホルダーを一つ買ってさよならを言うと,「サンキュー,ドクター」との大きな声。次の週に今度は上前津にチェロの弦を買いに行った時,お腹が減ったので,交差点のスタンドで「チキンサンドイッチひとつ400円」と書いた黒板を取り付けたバスが止っていたので,中をのぞくと「ヘイ,ドクターまた会いましたね,ダニエルです。」と例の分厚いメガネの御仁。「がんばってますね。」といって暖かいサンドイッチを買って,食べていると「ドクター,今度病院にゆきます。実はお腹がいつも痛いよ」というので,「ああ,いつでも来て下さい。」といって,別れると,次の日病院に来てくれたので,腸の検査をする事になりました。結果は,過敏性大腸症候群でした。
きっと日本に来て,奥さんと結婚して,子供も出来たので,一生懸命働かなくてはいけないので,たいへんだったのでしょう。「ダニエルさん,働き過ぎはいけませんよ。たまにはリラックス,リラックス。」と言ってあげると,にっこりして「じゃあ,今度はもうすこし楽な商売でも始めます。じつは,こんど池下の方で,喫茶店を出しますので開店の時には先生をお呼びしますので,ぜひ一曲弾いて下さい。ギターでもチェロでもかまいませんよ。」というので,「じゃあ,チェロ持ってお伺いします。」という事で,いま一生懸命練習中です。上手に弾けるといいのですが。
そしてもうひとりは,家の近くに昨年夏,アメリカのワシントンD.C.からひっこしてきたダニエル君で,守山の国際学園に通っている小学校5年生です.
さきぼどの大人のダニエルさんと同じ様に,分厚いメガネをかけて,ちょうどアメリカの映画「ホーム・アローン」に出てくるような愛嬌たっぷりの元気な子供です。いつもあとふたりの妹兄弟と3人揃って,僕の家の前を朝7時15分頃に「きゃっきゃっ,」と,チャットしながらスクールバスの来る通りのバス停まで歩いて行きます。でも最近は,あまり声が聞こえないので,寂しく思っていると,歩くのが禁止になったとか,実は,ダニエル君は,アメリカ領事の長男なので,こんどのアフガン関連の事件から,日本の警察から,うろうろ歩かない様にお達しが出ていたのです。もちろんアメリカ領事館の前も24時間警察の警備,監視があって不自由な生活らしいのですが,先週安心したことがあります。兄弟3人の声が近所の道路から聞こえて来たのです。見ると,インラインスケート3人組でよちよち危なげのある姿で,はしゃいでいます。でも,なんと青年警察官もいっしょです。さすがダニエル君です,護衛も遊びの仲間にした様です。アメリカ領事の皆さんとは,今のブッシュ大統領のお父さんのブッシュさん夫妻が,名古屋に見えた時,たまたま私が医療相談を受けたので,以来公私ともどもおつき合いしています。ブッシュさんや子供のダニエル君のお話の続きは,次回のお楽しみです。