司馬専太郎エッセイ19
中日クラウンズゴルフドクター 1


■第48回(2007年)中日クラウンズプロゴルフトーナメント大会報告〜その1

今年も男子プロゴルフトーナメントの中日クラウンズ(CBC中部日本放送主催)が、名古屋ゴルフクラブ和合コースで開かれました。このプロゴルフトーナメントは、「東洋のマスターズ」とよばれ、男子プロ開幕の春のビッグトーナメントとして1位賞金2400万円をめぐって華々しい戦いが繰り広げられ,その名に恥じない伝統と格式を重んずる和合で過去プロゴルファーの青木,尾崎,中島,杉原,ジャックニコラウスらが何度も,修羅場をくぐりぬけ栄光を勝ち取った戦いの場でもあります。近年では,若手の片山晋吾,アメリカ女子ツアーに参戦中の宮里藍選手のお兄さんの宮里優作,聖志兄弟,地元期待の近藤智弘選手,オーストラリアからの招待選手スメイル選手など競合ぞろい,呉越同舟です。
さて,小生は,名古屋大学医局時代よりCBCの診療室にアルバイトと称して勤めていました。そのころは,人気スターの秋吉久美子や沢田研二などの芸能人が診療室を訪ねてきて、処方などするかわりにサインをもらい,悦に入っていました。今回中日クラウンズが開かれるのを契機に,ボランティア精神と好奇心に燃えた小生が,CBCの本部に電話しますと,元気な声で「中日クラウンズ事務局の原です。」と女性の声。「なにか,ドクターとしてお役に立ちたいのですが?」と尋ねると,「残念です,今回のトーナメントでは,予算の関係で第2日赤と契約していて,現場での医師は置かない事になりました。せっかくのご厚意なのですが」との,返事でした。
そこで引き下がっては,名城糖友会の顧問としては,名がすたれます。そこで,さらに「ボランティアなので1銭も不要です。交通費なども自己負担しますので,もう一度ご検討ください。1万人ほどのギャラリーが入る和合では,なにがあるやら分かりません。狭心症や心筋梗塞,ボールに当たる外傷,芝に滑って足を骨折したり,低血糖,高血糖や脱水,脳梗塞なども可能性あります。」と,矢継ぎ早に病名を並べますと,「それでは,先生,一度検討させてください」と,やや,乗ってきたかと思わせる返事でした。「じゃあ,よいご返事お待ちしています。」と引きました。
数日後,本部より男性のどす太い声で電話あり,「中日クラウンズ本部長の酒井です。実は,こちらで再検討させていただき,今回は先生にクラウンズドクターお願いする事となりました。CBCより看護師が毎日コースに出張するのでよろしくお願い致します。」と,待ってましたと歓喜の声を抑えながら「それでは,こちらこそ未熟者ですがお願い致します。」と,答え,感激の日を待つ事になりました。
しかしながら,事は順調には行かないものです。中日クラウンズドクターに暗雲がただよいはじめたのも,元はと言えば,小生の跳ね上りによるものでした。 まず、クラウンズ事務局の方から、病気、怪我人などが出たら、契約している第二日赤病院に搬送してほしいとのことでした。僕は気を利かして一番近くで、われわれの系列病院である名古屋記念病院も良いではないかと、それに中日クラウンズトーナメントの指定病院になったらとっても名誉なことだとも思いました。誰でもそういう風に思うでしょう。それが、われわれの理事長および事務長は違っていたのでした。
まず、僕は同級生の名古屋記念病院の副院長に、中日クラウンズで怪我人が出たらよろしくと電話をかけ、次に本部の秘書さんにその旨届けておきました。理事長も事務長も不在だったからです。ところが、次の日に、理事長と事務長から呼び出しを食らいました。「先生!中日クラウンズのオフィシアルドクターをわれわれの同意もなしにお引き受けしたのですか!いったいどこからその情報を得たのですか!先生の日常業務や、はたまた、この病院の日常業務に妨げになります。先生は、何でも一人でお出来になっているとお考えですが、はた迷惑もいい加減にしてください。即刻そのお話はお断りください!」など、こちらが言うまでもなく、お二人それっての呼び出しに加え、矢継ぎ早の、ボランティアドクター辞退勧告に、小生はたじたじとなり、「オフィシアルではなく、ボランティアです。」とか「決して、仕事には差し支えないようにしませんから。」とか、「お引き受けすれば、絶対病院が有名になり患者さんも、ひっきりなしにおみえになり、儲かりまっせ!、」など、いわゆる口答えも一切受け付けない雰囲気だったので、ひたすら耐えて、「そうですか、では即刻お断りの電話を入れます。」と、すぐに引いてしまいました。
どうやら、許可を受けずに行動したのが、癪に障ったらしく、また、伝統の中日クラウンズの重みがお分かりになってない様子で、これは、許可申請しても通るはずは無いなと、再確認したしだいです。また、ベテランの小生を頭ごなしに怒鳴るのは、さすが、新進気鋭の中小病院の理事長だな、とも思いましたが、独り言で、「やれやれ、せっかくボランティアドクターへの道を作ったのに、とか、われわれの病院が有名になる良い機会を、失ったね。」など、自問自答し、いろいろと病院に対しても、はたまた、世間に対しても、落胆の感を禁じえませんでした。
ま、ここで引き下がるはずも無いのが、名城病院にて鍛えられた、筆者ですので、ご安心ください。いわゆる世間で言う、良い意味での、馬耳東風、ゴーイングマイウェイの筆者は、そんなことにはびくともしません。かなりここ数ヶ月、新しい環境で、精神的にも鍛えられてきました。
そこで次に取った策は、勝手知ったる我が名城病院の力を借りることにしました。 まず、名城病院の白沢先生(金沢の大学出身ですが、地元半田ではちょっとした名家だそうですが、一応腎臓の後輩です。よろしく!いいやつですよ。お調子ものが玉にキズですが、)に、電話して、中日クラウンズの期間中に集中して、僕の体の徹底検査特に、頭、お腹のCT,MRI、超音波、超音波内視鏡など予約を入れてもらいました。もともと膵臓に、のう胞があり、精密検査を進められていたことは、理事長も認識しており、しかし小生が病気で長期休みを取られると、病院もいささか困るので、短期入院ならOKです。とのお許しをいただきました。(これもかなり抵抗があったのですが、)これで、晴れて中日クラウンズのボランティアドクターとして専念できることになった訳です。
さて、中日クラウンズの第1日目は、すでに、月曜日の午後のプロたちの練習ラウンドから始まります。練習ラウンドは自分の希望するプロ仲間と練習できるらしく、飯合、川岸などは、1ホールごとに賭けゴルフをしながらプレーしていることが丸見えで、バーディー合戦で、お互い譲らないときなど、大声で楽しんでいました。2日目は、プロ、アマ競技で、抽選で選ばれたプロと、3人のアマチュアゴルファーが一緒にラウンドする競技です。実は私もお誘いがありましたが、1回のラウンドに35万円かかるらしいので、一般人には、無理です。
前置きが、ずいぶん長くなりました。そうこうして、無事、中日クラウンズのボランティアドクターとして4月25日(水曜日)のプロ・アマ戦から、4月29日(日)の最終日まで、5日間通してコースに顔を出すことが出来たのでした。
本戦の実況中継などのエピソードにつづく

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