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怪しい味噌話 その8
味噌は世界を結び付ける絆

 以前だれかが「ビール」と「ご飯」っていうのは相性が悪い。ところが「ビール」に「焼肉」に「ご飯」となると話しはまったく違うというようなことを言っていた。この場合「焼肉」が2つの相入れない「ビール」と「ご飯」を結びつけているのである。私は「味噌」というのが、現代の世界を結び付ける鍵となるのではないかと思い、この文章を書いている。
 さて、アメリカのレストランに行って「ソイビーン(大豆)のペーストが入ったスープはいかが?」と聞かれたら、ちょっと飲む気がしない。これは日本語にすると「味噌汁」なのである。世界は本来みんなで仲良くやって行くべきなのに、現実はそうではない。我々は「味噌」という世界を結び付ける道具を持っているのに、ソイビーンペーストなどという呼び名を付けられてしまったために、不要な社会コストを強いられているのではないだろうか。
 まず第一に私が世界の皆さんに向かって提唱したいのは、味噌を"Soy Bean Paste"という呼び名で読むのを、本日中に停止して、しっかりと"Miso"と発音していただきたい。ゲイシャ、フジヤマ、ハラキリ、スキヤキ、カラーテ、ガジラ、ヤクーザ、ツナミ、ケイレーツ、カローシ、と同様にミィーソとオリジナル発音で呼んでいただきたい。もし電通あたりがアメリカで、同じ2杯のスープを1000人のアメリカ人に、一つは「ソイビーンペーストスープ」、もう一つを「ミィーソスープ」として出し、どちらが美味しいかと聞いたら、間違いなく"This one tastes better"といって「ミィーソスープ」の方をさすであろう。
 さて第二に私がしなければならないのが、本当に「命題:味噌は世界を結び付ける絆」になれるかどうかの証明であろう。何を持って真とするかは哲学者達にその任務を任せるとして、味噌によって世界の人々が幸福になれることを証明することにより、前述の命題を証明してみようではないか。私はこの命題を検討するにあったって、楽観的な観測を持っているが、証明が容易で無いことも承知している。そこで、今回は証明の20%分を分割払いさせていただくことにする。
 世界人口は現在55億と推定されている。全ての人達にアンケート調査をするのは無理であるので、まずその人口構成のトップを占める中国人(人口12億)にターゲットをあててみよう。
 中国人:私がメンバーになっている「NY地区インターネットアクティビスト特に目的の無い飲み会」の第一回飲み会は、NYのチャイナタウンで行われた。そこでのメインディッシュは北京ダックであった。
 そこで私が目のあたりにしたのは、北京ダック職人のみごとな手さばきであったが、その手さばきに見とれて本題を見失ってはならない。ここで重要なのは下の写真中央上部にある「味噌」である。イマジンしていただきたい、この会に「味噌」がなかったら、どうなっていただろうかと。場はどっちらけで、口喧嘩の1つや2つがおこっていただろう。すなわち、この味噌なくして、北京ダックはありえないし、この飲み会の成功もなかっただろう。極限すれば「味噌」なくして中国12億人民の幸福はありえないのではないだろうか。極言すれば「味噌」によって、生活がより豊かな物になるのではないだろうか。
 さて、私はここで前述の「命題:味噌は世界を結び付ける絆」であることの20%分割払いをしたわけだが、次回はインド人(9億人)をターゲットにして、次回の支払い分の20%に充当したいと考えている。

       (味噌煮込み調査員/大橋禅太郎:NY在住)

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