味噌端会議:
 加賀女の名古屋こきおろし記

編集部にある日届いた一通のメール。
いわば抱腹絶倒の「名古屋食文化のエッセイ」、ご本人の了解を得て掲載します。

私は石川県金沢市に住む「マユミ」と申します。 2003.9.5 17:26:33

 今日は14日に"鳥銀"さんに行くのに「名古屋」を調べるため検索したところ一番最初にあった「味噌マガ」にハマッてしまいました。同じ日本でありながら、しかも「中部エリア」では同属である石川と名古屋なのですが「人」も「食」も違いすぎますね。名古屋に行くのは「異文化」を味わえる唯一の楽しみであります。

 初めて「名古屋」に来たのは私が20歳のとき。(20年前のことです。)金沢の観光地で名古屋の男の子にナンパされて、そのアシで名古屋にやってきました。生まれて初めて「地下鉄」に乗ったのは「東山線」! 真っ暗になのに窓の外ばっかり見てて.....。「ここに生まれて初めて地下鉄に乗ったもんがいるでいかんがや〜」と車内でデカい声で言われて、辺りの人から失笑をかいました。はぁ〜昨日の事のように思い出せます。

 真っ先に連れて行ってもらったのが、中日ビル地下一階の「山本屋」さんでした。「鶏肉入り」「玉子入り」をそれぞれに頼んで・・・・(名古屋男4名、金沢女2名のグループです。)注文したものが自分の目の前に置かれた時の背筋がさむぅーくなる感じ.....。戦慄が走るというのでしょうか…(笑)あの感じは、今でも「味噌煮込み」を隣で食している他人の手元を見ても同じに味わえます。重ねた蓋の間から「ぶくぶく」と赤茶色の液がはみ出してくる!!ゲロ!!!「私はうどんを頼みました。」と名古屋人(ひと)に強く主張した記憶があります。
 蓋を開けたらもっと凄い!!「別府温泉の地獄谷」のようでした。取り皿がないので聞いてみると「蓋で食べやぁ〜」と言われ、なんで「土鍋」の蓋に空気穴が無いのか納得したわけです.....。で、蓋の隙間から味噌汁が吹き出るんですわ。麺を口にして「お!!煮えてない」と感じましたが名古屋男子はそれをバクバク食べているので、これが「正当な茹で加減」だと自分に言い聞かせながら食しました。アルデンテ.....。

 その次は「天むす」です。名古屋が発祥の地であると 自慢げな男子達。見ると三角おにぎりの先っちょから 海老天のしっぽがハミデテいました。先の「味噌煮込み」でK/O寸前の私達は勧められはしましたが、遠慮申し上げました。(笑)

 次は「栄 三越」、デパ地下でショッピングです。金沢から銘菓「柴船」を土産に持っていったのですが「こんな不味い菓子は食えんでいかんがやぁ〜」「もっとうみゃーもん持ってこんといかんわな」と、、、、人に「味噌煮込み」を食わせといて.......とか思いましたが.......。
 で、名古屋男子のオススメは「ゆかり」でした。一枚一枚ラッピングしてある、ただの「えびせん」でした。(当時は口の中でもたもたするので嫌いでしたが年をとった今は大好きです。)次に「ういろう」「きしめん」を金沢土産に買い、ドライブへ!!着いた所は「名古屋港」......。

 車を降りて視線を上げると 目の前に「金色をしたデカい鯉」が浮いていました。がははは...。今思い出しても可笑しい!その金色魚船の前で記念撮影をして 夜の街へ.....。

 「大須」と言うところの「コメ兵」で一本百円のネクタイを父の土産に買い、続く、「やばとん」という豚カツ屋さんに行きました。銀色のお皿からはみ出す平たく薄い豚カツに味噌ダレ、付いてくるお味噌汁は中の具が見えない なんであるか確認のしようがナイくらい透明度ゼロの赤だしでした。豚カツ&アサリ汁が定番だと聞いて驚きました。お豆腐でも 麩でもダメで「あさり」じゃないといけないそうです。理由をご存知でしたら 教えてください。

 皆 大学生だったので栄で大判振る舞いは出来なかったけど「マハラジャ ウエスト」で一踊りしたあと居酒屋へ.....。「磯部揚げ」が、ちくわに青のりをかけて揚げてあるとはナルホドと感心しました。たぶんこれも「名古屋発祥」だと思います。1980年代、金沢には「磯部揚げ」なるものは存在しませんでした。
 メインは「名古屋こーちん」。焼き鳥の味付けが殆ど「タレ」でありました。金沢は殆ど「塩」です。でも「名古屋こーちん」は柔らかくて美味しいです。普通のニワトリか名古屋こーちんか 書いてないから見分けられないですが名古屋の何処に行っても「手羽先」「親子丼」は美味しいですね。「ささみ」をお刺身にして食せるのは「名古屋」だけですよ。今はどの地方に行っても何でもアリですが。。。

 去年 この大学生だった男子達と「栄」で待ち合わせをして久し振りに飲みました。皆、子供も居て普通のお父さんになっていました。連れて行って貰ったところが「いばしょう」とか言う鰻屋さんでした。磯辺揚げから昇格です。 (笑)
 これがまた、邪道ナンです。鰻が......、粉々に刻んであって.....、最後にお茶をかけるとな????クラクラしました。お茶碗の中が ぐちゃぐちゃで汚い。あの時の「味噌煮込み」に匹敵するくらい私の箸の進まないこと.....。鰻を細かく切ったり お茶漬けにしたりするのは止めましょう!!「これはもともと"まかない食"だからこんな形になってるんや」と説明がありましたが、まかない食の割には値段が高いですって!!
 次に炉辺焼きのおしゃれな店に連れて行ってもらいました。ここで「赤味噌」のトドメの一撃が私を襲いました。私は「おでん」を頼みました。「こんにゃくと玉子」です。来たお皿を見て「。。。」煮玉子に黒い味噌がドロッと.....。こんにゃくにもです、、、、余りの「甘くどい」味に 一口でリタイヤです。
 北陸のおでんは「だし&しょうゆ」味です。名古屋はこの赤味噌のお陰で 何でもどんな料理でも同じ味がします。もっと素材そのものの味を大事にしましょうよ!!またもや「なぁに〜それぇ!!赤味噌のおでん 食ったことないもんが ここにおる!!」と 店内中に聞こえるように言われ オーダーを取りに来たカッコいいお兄さんに(金沢にはいない)笑われながら 次の注文をしてる私でした。

 金沢のスーパーの調味料売り場の「お味噌」の棚には「赤みそ」は置いてありません。置いてあっても売れないから商品そのものが「幻(まぼろし)」なのであります。名古屋のコンビニのカップ味噌汁の棚に「赤だし」が並んでいるのをみて思わずデジカメで記念撮影してしまいました。
 20年前の頃、「ウオッチマン」でアイロンを購入して アネックスビルの東急ハンズへ。高層ビルが珍しかったです。(笑)
 家庭用品売り場で「万引き犯」を見つけて エスカレートを逆走して行く犯人の後を追いかけ回し蹴りで撃沈させて「金沢の九の一」とあだ名が付いた私です。それから何度となく「名古屋」に来ていますが 毎回新しい発見をして帰ります。

 喋りも味も「濃い」名古屋が好きです。



ここまでが最初届いたメールで、掲載許可をいただくために出したメールに、
さらに抱腹絶倒のお話しがありました。それも読んでね。
しかし、マユミさん、「天むす」食べなかったのは不覚でしたねぇ。
T.V.でも紹介され、今や全国に名が広まるほどなんですよ。
今度名古屋に来られたら、絶対食すべし!お土産にもゼッタイお薦めです!



続きを申してよいですか? 2003.9.6 16:03:09

 お返事有難うございます。あんなので宜しいですか? あれはほんの「青春の1ページ」を語った物であります。 続きを申してよいですか?(笑)

 今年の5月31日にレインボーホールであった「久保田利伸コンサート」を観にいきました。コンサート、中盤でのトークで久保田は「みんなぁ〜!!味噌煮込みは好きか?」と観客に投げかけました。名古屋人は即答で「いぇ〜い!!」と返事をしていました。
 私と連れは、取り残されました。「あんなもん どーやって食べるの?」「胃 ムカムカするよね」と話していました。すると久保田は「オレね......、味噌煮込み、ダメなんだよ」って言ったんです。衝撃の一言でした。「半生感のあの麺も美味しくない」って......。いや〜。ますます久保田と私は接近したと言いますか、一心同体になった瞬間でした。長くファンをしてきた甲斐がありました。しかし隣三軒両隣、後ろ前の方々は「うみゃーのにぃ......」と悲しげでした。

 次の日「栄 三越」の7?8?階のレストラン街にいって、京都が本店のカツ専門店で昼食をとりました。日曜とあって店内は込み合っていました。一番奥の席でした。お隣は、上品そうな年配の御夫婦と新婚さんのようなカップルの方が先にお食事をされていました。
 注文時に「味噌が掛かっていない豚カツはありますか?」と店員さんに聞きました。「私どもは京都からの出店で、お味は関西風でございます」と名古屋訛りで説明を受け「安心」しました。
 食事をしながら昨日お送りしましたメールの内容 殆どを喋りました。友人を前に「私は名古屋をよぉ〜く知ってるのよ!」ってな感じで自慢げにベラベラ喋っていました。するとテーブルの下で友人は私の足を蹴るんです。「なに?どうしたの?」と聞くと 彼女の大きな丸い目は右に左に動くのです。
 そーーです....。両隣のお客さんは私の話を聞いていらして全く御自分達の「会話」をされていませんでした。
 性格が悪い私です。(笑)友人からの申告を無視してありとあらゆる「名古屋体験記」を関西風カツ丼を食しながらガンガン進めておりました。
 友人が大学時代 名古屋合宿で泊まった時の話になりました。体育会系で可なりハードなトレーニングをした後は、味の辛い物が欲しくなる。だから赤だし味噌汁は美味しかった.....。けどぉ....。身体悪くなったときの「血便」に似てない?赤味噌って〜!? と昼食時なのにとんでもない話をしてしまったとき、隣の品の良いご主人さんが「ぶほぉっ!」とお茶をむせておいでになりました。ごめんなさい....。汚くて.....。けれど赤味噌発祥の地、愛知の方から「同意」を得たようで嬉しかったです。(笑)

 これらの出来事を例の「名古屋の友達」に電話で話したところ、「おみゃっぁ〜よぉーくそれで 生きて三越出てこれたぎゃぁーぎゃーぎゃー!!」と、結構「名古屋」をけなされたと思い、憤慨していましたが、「ごみとり」の「親子丼」は世界に誇れる一品だわ!!と絶賛したら機嫌は元に戻っていました。うぅ〜ん.....。「郷土愛」は他県人より勝っていますね。「中日ドラゴンズ」「名古屋グランパス」を自分の身内のように労わり愛していますものね。

 東京男 大阪男 名古屋男と周りに居ますが、やはり私は「名古屋男子」が好きですね。生血が通っているといいますか.....。単純だけど優しくて「家庭」や「自分の持ち物」を大事にしますから。(^^) いい感じで好きですね。反対に「名古屋女子」のキツイ事....。夫を尻に敷いてシッカリ家庭を守っていらっしゃる女性が多いように感じます。
 いくら「名古屋男子」が好きだと言っても、バックに恐い奥様が居る方とは恋愛は出来ませんね。(笑)
 ねぎ様も「金沢」に来て名古屋弁で女性を虜にしてみてくださいませ。

あのぉ、あたしゃ、れっきとした女なんですけどねぇ。
夫を尻に敷いているかどーかわからんが、家庭をてきとーに守りつつ、
仕事優先で日々を送っているキツイ名古屋女子(おなご)っす!!

マユミさん、これからも、でぇらい痛快な名古屋こき下ろしメール、送ってちょーでゃぁね。


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