「アントンの野望!大ちゃんさらわれる 」サックスブルーの奇跡(その2)

世界初のJリーグマスコットキャラが主役のSF小説。ファン待望?の第二篇が完成しました。

■大ちゃん奇跡のVゴール
この『事件』は、夏の暑いさかりに起きた・・・Jリーグのセカンドステージ第1戦で、久しぶりにジュビロ磐田は鹿島アントラーズに勝利した。Vゴール勝ちである。決めたのはゴン中山・・・じゃなっくって、なんと大ちゃんこと奥大介である! あー、ビックリした。あの攻撃的MFと呼ばれながら、ひょこ足でしまらない表情、滅多なことでは点を入れないことで知られている大ちゃんである。ジュビロのゴールといえば、いつもエース中山のゴンゴールばかりで、ちょっとマンネリ化していたが、今回はほとんど期待していなかった大ちゃんが入れたので、一瞬ジュビロスタジアムは静寂の海と化した。そしてジュビロのファンからは大歓声の嵐がわきおこった。その反対に、アントラーズ側からは罵声が飛び交った。「大ちゃん覚えていろ! 今度入れたら浜名湖へ投げ込むぞ! 」という炎のような声が・・・それを見ていたアントラーズのマスコット、アントン(本名しかお)は、「ボクがこの悔しさをはらしてやる!!」と怒り狂っていた。

■ジュビロードの悲劇
試合後、タカ(日本代表で知られるジュビロの若きエースストライカー高原)と大ちゃんは肩を組んで大喜びでいった。「大さん今日は晩メシおごらせてくださーい。」「えーて、おみゃーのアシストのおかげだわ〜おごってやるわ〜タカ。」大ちゃんも上機嫌である。そして磐田唯一の繁華街ジュビロードのかどを曲がったときである。「大さ〜ん、」と、タカがふりむくと・・・なんと大ちゃんは姿を消してしまったのである!「大さんサイフわすれたんかなぁ・・・わざわざ取りに行かなくても・・・」といった瞬間!「ナーカヤマ、ナーカヤマ」とつぶやきながら足音もなくビスマルク(アントラーズのMF)が、ロボットのように無表情なまま、両手から核ミサイルを発射しながらタカを追いかけてきたのである。
ドカーン!!ビスマルクの核ミサイルはタカの足元に命中し、タカは、はるかかなたへ吹っ飛ばされた。

■サウナの中のゴマフアザラシ
目の前でぐるぐるまわる星空・・・目がさめたタカは見覚えのある高層ビルから浜松にいることに気づいた。浜松駅前のシンボル、高層タワーのアクトシティである。「あ゛ぁーーーーーーーーー!!」という大ちゃんの悲鳴がタカに聞こえてきた。「大さーん、メシおごるっていったでしょー」と言いながらアクトシティの中を、声をたよりに捜し回った。
13階で大ちゃんはサウナに閉じこめられていた。アントンの仕業である。
バーン! いきなりドアが開いた。タカが救出に現れたのである。
「大さん!なんでこんな所に・・・、またこんな姿に・・・」大ちゃんはゴマフアザラシになっていたのである。大ちゃんは気温が40度をこえると変身してしまうのだ。ゴマフアザラシと化した大ちゃんを抱きかかえたタカは、必死になって部屋から脱出した。
「早く、大さんを冷やさないと・・・」ゴマフアザラシ状態で30分間経過すると、人間の姿にもどれなくなってしまうのである。

■東海道の決闘
タカはひたすら旧東海道の松並木を浜名湖目指してつっぱしった。「弁天島の赤い鳥居が見えてきました。大さんもう少しの辛抱です!」と、タカが叫んだ瞬間だった。「イテーーーーーーーーーーーーー!」タカの足を鋭いツノがつきさした。アントンが先回りし、襲ったのである。タカは、ゴマフアザラシ状態の大ちゃんをかばいながら、何とか走り続けようとした。
ピッピッピッ・・・大ちゃんの鼻が赤く点滅しはじめた。あと5分である。
「はなせーーー、アントン!」「ヤダ」アントンのしつこい攻撃。ついにアントンのツノが足にからまってタカは身動きできなくまってしまった。大ちゃんはもう二度とサッカーができなくなってしまうのか!? 
そのときである。突然、アントンのツノがフニャフニャになり、タカの足から外れた。アントンは全身の力が抜け、ヒャ〜ヒャ〜と奇声を上げてバタンと気絶した。その後ろには、くちばしからプラズマ光線を発射したジュビロ君(ジュビロ磐田のマスコット)が勇ましく立っていたのだった。「ジュビロ君よくわかったねぇ、ありがとう!!!」タカは、そのまま大ちゃんを抱え、猛スピードで浜名湖へ突進した。

■ゴールはウナギ
ジューーーー・・・間一髪!! 大ちゃんは、あと3秒で一生魚を食べて暮らすだけの人生を送るところだった。浜名湖の新鮮な水で冷やされた大ちゃんは、ゴマフアザラシ状態から手足が伸びて、ようやくもとの人間の姿に戻ることができた。「ああ、良かった。ようやくこれでメシを食いにいける。」ジュビロ君も到着した。「駅前のジュビロショップから、タカの姿が見えたので追いかけたんだ。」タカが問いかけた。「ジュビロ君、一緒に行く?」「ウン、モチロン行くよ!!」2人と1匹は、肩を組んで名物のウナギ屋へはいっていった。ジュビロのパワーの秘密は、やっぱりウナギだったのだ。大ちゃんのポケットからも、ウナギが顔をのぞかせていた。
そのころ、ビスマルクは核ミサイルを発射した罪で捕らえられ、みせしめに磐田駅前へ化石としておかれることになった。幸いミサイルは不発だったので、磐田は無事だったのである。メデタシ メデタシ。

Copyright 2000.12.23 脇田ひろな

その1(これがほんとのタンスにゴン)


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