2000年3月、私は愛知医大病院のベッドの上にいる。
持ってきたのはPowerBook2400とDreamweaver、Fireworksのバージョン3だ。
けど「病院じゃインターネットはつなげんなー」と思っていたら、どーゆーわけか家からPHSが届いた。なんて都合がいいんだ。さらに「モデムのドライバをインストールしなきゃならんし」と思ったとたん、外付けのフロッピードライブも届いた。ええい、こーなったら念力ぢゃ。「電話番号が分からんし、設定も面 倒なんだよー」と念じたら、はたしてGOTOさんが見舞いにきて、ぜ〜んぶ教えてくれた。
わっ、どうしようどうしよう。Netscapeを立ち上げてみたら、あっけなくつながちゃったじゃないの。これじゃあホームページを作らんわけにはいかんなー。

ところで「アンタはどーして入院してるの」と根ほり葉ほり聞く奴が多いので、私の病状について、ざっと説明しておこう。入院の理由はB型肝炎によって引き起こされた食道静脈瘤の除去手術のためだ。肝臓が悪くなると、どうして静脈瘤ができるかというと、風が吹くと桶屋が儲かるみたいな、けっこうややこしい理由がある。

1)肝臓が悪くなると、その中を通っている血管の流れが悪くなる。
2) それは紋脈といって、食道や胃や腸や、要するに内臓をあちこち回って、吸い上げた栄養分を運ぶ役目を持った血管だ。
3)そして、その最終コースに肝臓がある。
4)なので、そこが詰まると、血管は先っぽを押さえられたホースみたいに膨らむ。それで静脈瘤ができるのだ。

静脈瘤を放っておくと、最後には破裂する。そうなったら大変だ。場所が場所だからバンドエイドを貼るわけにはいかない。アル中になった往年のスターが夜中に血を吐いて倒れるのは、ほとんどこいつが原因らしい。しかしここで、私の肝炎はB型ウイルスによるもので、アルコールが原因じゃないことを強調しておきたい。B型肝炎はエイズと同じように体液から感染するのだが、私の場合は6歳以前の予防注射が原因だろうと医者はいう。昭和20年代生まれの人なら分かると思うが、昔の予防注射は子供を一列に並ばせて、医者は何人もの子供に同じ針で注射を打ったものだ。そして不幸なことに、私の何人か前に、すでにB型肝炎にかかっている子供がいたというわけだ。