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3月15日(金)
天候: 晴れ
今日また胃カメラを飲んだ。手術の経過を見るためだ。朝イチで呼ばれたので外来患者の前に貸し切りでやるのだと思っていたら、先客がずらりといるのに驚く。そうか、世の中甘くない。考えてみれば大病院なんだから、入院患者だっていっぱいいるのだ。皆キンチョーした顔で、天井を見たり壁のポスターを見たりしている。真ん中のテーブルには週刊誌が揃っているのに、誰も手を伸ばす奴はいない。昼時の蕎麦屋とは大違いで、週間プレイボーイの最新号まで手つかずだ。きっと胃カメラ怪獣が頭の中を暴れ回っていて、それどころではないのであろう。私も多少はビビっているが、つい先日ぶっとい奴を飲んだばかりなので、今回は余裕だ。この前がウナギだとすると、今回はせいぜいドジョウぐらいのものだろう。 ところで今回は文章がやたら長いが、これも余裕のなせるワザだ。これまでの日記を読み返すと、あれがマズいとかここが痛いとか、ネガティブなことしか書いてないのでイヤになる。 よし今日からは回りをしっかり見て、前向きに生きていくぞと誓って、プレイボーイに手を伸ばす。ページをパラパラめくると、いきなり総天然色ヌードページが開いてうろたえるが、だれも覗き込んでいないのでひと安心する。そーかそーか、キミたちはヨユーがないのか、といい気になって、ヌードばかりを拾い見していると、いきなり奥から「ヒラコさーん」と声がかかる。えっ、まだ麻酔が済んでないぞ。看護婦があわてて注射を打ち、喉の麻酔を持ってくる。わたしはこれが大苦手だ。なにしろ麻酔液を喉に貯めたまま5分間もうがいの姿勢をしていなきゃいかんのだから。プレイボーイを見てる5分は短いが、ストップモーションうがいの5分は長い。冷や汗が流れ、知らぬ 間に小指が立っている。 検査室に入ると若くて美人の林センセイが迎えてくれた。どうやら今回はカメラの操作も 林センセイがするらしい。検査ベッドに横向きに寝させられマウスピースを噛まされる。「始めますよー」という優雅な声と同時にドジョウのような細長い管が口の中に入り、こちらはただただ、ひたすら無抵抗状態を続けるだけだ。やっぱり胃カメラはドジョウでも、情けないことに変わりはない。

3月14日(木)
天候: 雨
やっと点滴がはずれて、食事が出るようになった。といっても典型的なな流動食だ。写 真左側はメチャメチャうすい重湯、右側は牛乳だと思ったのだが、飲んでみたら大嫌いな豆乳だったのにはガックリだった。


3月15日(水)
天候: 晴れ
朝起きて、新聞を買いに行った。点滴セットを引きずっての大遠征だ。
手術のショックから立ち直り、やっと少し気力が戻ってきたような気がする。 大遠征から戻ってきたら点滴が逆流して、透明な管が真っ赤に染まっているのに気づき、あわててナースコールを押す。ここの看護婦さんは皆親切で器量よしだ。


3月14日(火)
天候: 晴れ
昨日の手術は順調だったが、喉が痛くてモーレツに眠い。
喉が痛いのは胃カメラの親玉を飲み込んだ時の傷だろう。眠いのは点滴に鎮静剤が入っているのかも知れない。
絶飲食はつらいが、それよりつらいのは四六時中つけていなければならない点滴セットで、絶食中に栄養を補給するための高カロリー輸液が入っている。よーするにメシの代わりなのだが、こいつをゴロゴロ引きずってトイレに行くたびに、大病人になった実感がふつふつと湧いてくる。


3月13日(月)
天候: 晴れ
日記は毎日つけなきゃいかんのに、もう1週間もたってしまった。
自分のいいかげんさにあきれつつも、いまさら性格は直せないし、それにムリすると体に悪い、と無理矢理自分に納得させる。
今日は手術の当日で、自分では平常心のつもりだが、血圧が168と、これまでの最高値なのに驚く。 ムム、やっぱりプレッシャーがあるのかなあ。
ほかのページはまだ手つかずのままだが、デジカメで取りためた ナースコレクションもあることだし、まあボチボチ作っていこう。