オリジナルデザイン
プラクチカB200のポデーサイズは、N42スクリューマウントのプラクチカから見違えるほど小型化されている。小型一眼レフの代表格である日本のオリンパスOMシリーズと比較しても、ボデーの厚みやペンタ部にややボリュームを感じるほかは大差ないほどだ。小型化のための工夫が随所に見受けられ、ポデーの左側が長い不思議なバランス感は、丸みを帯びたスタイルとともに、独特の表情を醸し出している。
ポデー内部構造はアルミダイキャスト製。外装は下カバーと裏蓋が金属プレス製、上カバーはプラスチック製だが、落着いた風合のある硬質の黒半光沢塗装が施されて高級感がある。蛇足ながら、一眼レフで初めてプラスチック製カバーを採用したのは、1968年に登場したM42スクリューマウントの新世代機プラクチカLシリーズである。発表当時、その見事な梨地クロームメッキからプラスチック製とは気づかなかった日本の技術者が、ペンタプリズム部に浮彫りになっているペンタコン社のマーク(エルネマン塔)の加工方法に頭をひねったというエピソードも残っている。
カバーを外すと、ペンタプリズムを覆うように電子関係のフレキシ基盤が配置されているところなどは、日本製一眼レフと変わりない。 裏蓋との遮光部には、経年変化を起こしやすいモルトプレンではなく、テレンプを用いている。ボデー外周部は、適度な弾性を持つピラミッド状パターンの合成レザー貼りで持ちやすい。同様な弾力のある材質を用いたヤシカ/コンタックスのものに比べて経年変化もなく、傷みにくい。

Bバヨネットマウント
プラクチカBのレンズマウントは、新開発のBバヨネットである。フランジフォーカル44.4mm、内接径48.5mmの3本爪で、ロック解除ボタンはエプロン右下に位置する。マウント変更の経緯や外観からペンタックスKマウントと混同されることがあるが、フランジバックやバヨネット爪の形状が異り互換性は皆無のオリジナル規格である。実物を手にしたことがない人がKマウントと思いこんでいることが多いが、1978年のフォトキナでの新登場時に、カメラ専門誌に「Kマウントを採用」と誤って紹介されてしまったことが尾を引いているようだ。
最大の特徴は3個の電気接点を備えていることで、各レンズに内蔵の可変抵抗により絞り値を抵抗値に変換し、電気式にポデーへ伝達する開放測光方式になっている。この電気接点によるボデーへの絞り値伝達機構は、M42スクリューマウントのプラクチカLLCにより1968年に初めて採用された方式でもある。
当然のことながら、従来のM42スクリューマウントの多彩なレンズを装着するためのBマウントアダプターも用意されている。M42スクリューマウントのレンズを装着した場合も、無限遠からフォーカス可能である。自動絞りは作動せず、実絞りでの使用となるが、AE露光は可能である。
Bマウントアダプターには、ボデー側の電気接点を働かせるための固定抵抗が内蔵されている。電気接点を持つカメラ特有の留意点として、レンズを外してマウントの電気接点が遊んでいる状態では露出計が機能しない。シャッターダイヤルがAUTO位置のままでシャッターを切ると、シャッターが開いたままのタイム露出状態となってしまう。この場合は、シャッターダイヤルをB位置に回せば復帰する。

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